純情喫茶―恋する喫茶店―
(――もう、無理…)

玲奈の躰が熱を持ったその瞬間、スッと唇が離れた。

風呂あがりと言う訳でもないのに、玲奈の躰はすっかり火照っていた。

谷木は玲奈の頬に触ると、
「純情なヤツ」
と、耳元でささやいた。

キスによって感じやすくなった躰は、言葉1つで感じてしまう。

それを知っている谷木は、わざとやるのだ。

「大人しく待っていろよ?

夜はちゃんと感じさせてやるから」

そのセリフを耳元で言うと、谷木は玄関を出た。

(人殺し!)

火照った躰を自分で抱き締めながら、玲奈は思った。
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