雷獣
「別に何もしないけど。」
そう言いながらロッカーの中から目当ての教科書を出す。
ロッカーを閉めて振り返り私をまじまじと見てるクラスメイトに聞く。
「私もテスト受けるんだけど選択、音楽選んでる人いる?プリント持ってるならコピーさせてほしいんだけど。」
変わらずシーンとする教室。
「はぁー。」
もういいや。帰ろう。
黙って教室を出る。
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パタン。
「ふぅー」「はぁー」
息を吐く声があちこちから聞こえる。
「なぁ、篠崎さん怒ってたけどこれでよかったのかよ?」
「でも、岳人さんが言ってただろ、”何がきっかけで記憶を思い出すか分からないから俺等が誰もいなかったら最低限の関りにしてくれ"って。」
「でも、あれはないはー。あんた音楽選択してたんじゃないの?」
「いや、でもプリントなんて持ってねーよ。そういえばお前も音楽選択だろ?
貸してやれよ。」
「私も音楽だけど家で勉強してるからプリントも家だし...。」
またシーンとする教室。
「変な風に岳人さんに伝わらないことを祈るだけだな...。」
クラスメイト全員が頷く。