俺様御曹司の悩殺プロポーズ
 


『ハラヘリマンボ』とは、桜テレビの日曜11時からの情報バラエティ。


10日ほど前に私は、都内の老舗洋食店でオムライスの食レポのロケに行ってきて、

その放送が、数日前にされたばかりだった。



私の食レポ……そんなに酷かった?


いつもそうだけど、自分ではそこそこ出来ているつもり。


そして、風原さんに厳しくダメ出しされるのも、いつものことだった。




私の部屋よりグレードの高い立派なドアを開けて、マンションの廊下に出ると、


「遅くなったな。送るか?」

と彼は聞く。



「いいですよ。同じマンションを下るだけで、安全ですから」



「そうか……だが、部屋に着いたら一応メールしろ。また明日な」




エレベーターホールに向けて歩く私の背後に、ドアが閉まる音は聞こえなかった。



廊下の角を曲がる際にチラリと振り向くと、

風原さんはドアノブに手をかけたまま、まだ私を見送っていた。



私の足音だけが、静かな廊下に響いている。



エレベーターが到着して乗り込むと、やっと遠くでドアの閉まる音が聞こえた。





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