俺様御曹司の悩殺プロポーズ
メールで指示された通り、周囲に気をつけながら、
風原さんの車の後部席に、コソコソと乗り込んだ。
そんな私をバックミラーで見た彼は、ブハッと吹き出し、肩を揺らして笑っている。
「確かに気づかれないようにしろと言ったが、それはないだろ。
反って人目を引く。不審者扱いされるから、やめておけ、アハハッ」
言われて外したのは、スカーフだった。
スカーフを被って正体を隠そうとしたのだけど、やっぱり変かな……?
このスカーフは大きさが微妙に小さくて、顎の下で結べなかったから鼻の下で結んでみた。
それが風原さんのツボにハマったようで、
「泥棒コントかよ」と、スカーフを外しても彼はまだ笑っていた。
風原さんの笑いが収まってから、車は静かに動き出した。
私はいつもの通り、黒い毛布を被ってシートに寝そべっている。
どこをどう走っているのかわからないが、
車に揺られること一時間ほどで、目的地に到着した気配がした。