俺様御曹司の悩殺プロポーズ
 


エンジンが切られ、

「ここからは隠れなくてもいい。普通にしていろ」

と言われた。



その理由は、車から下りるとすぐにわかった。



ここは都会ではなく、結構な田舎町。


高い建物は電力会社の鉄塔くらいしかない。


住宅地にポコポコと穴が開いたように畑が点在し、通行人は見渡す限りいなかった。



「ここはどこですか?」
と尋ねると、

「東京の端」という答えが返ってきた。



ふーん。東京にも田舎ってあるんだね。

隅々までビルが建ち並んでいるのかと、勘違いしていたよ。



空はうっすら赤みを帯びて、時刻は夕暮れ時に入っていた。



車を止めた場所は砂利のひかれた駐車場で、

風原さんの車以外に、一台だけ車が止められていた。



駐車場の向こうには小さな庭園があり、その奥に、

白漆喰いの壁と赤茶色の屋根瓦の、平屋の建物が見えた。



『ル・ヴァン』と看板を掲げたこのお店は、南フランス風の建物。


ランプみたいなポーチライトや木目のドアが素朴で、西洋の田舎を感じさせる雰囲気だ。



風原さんが連れて来てくれたお店が、こんな所なんて……。



< 162 / 452 >

この作品をシェア

pagetop