俺様御曹司の悩殺プロポーズ
スタジオを出て、外の中継場所に向けて走る。
生放送の番組は秒単位で動かなければならないから、本当に大変。
さっきの私のミスを風原さんがフォローしてくれたけど、
予定にないコメンテーターとのやり取りで、ロスした時間は多分30秒くらい。
大丈夫かな……。
30秒を取り戻すのは、私には至難の技。
風原さんに、迷惑かけてしまった……。
申し訳なさと心配する心を抱えて、桜テレビ前の中継場所に戻った。
呼吸を整えつつモニターを見ると……
進行の遅れはすでに取り戻され、何事もなかったかのように順調だった。
30秒もロスしたのに……回復が神級に早い!
風原さんて、本当に凄い人なんだ……。
ついモニターにかじりついてしまい、ADさんに怒られる。
「日野さんスタンバイ。
10秒前ですよ」
「あ、すみません!」
雨雲くんと三回目のお天気中継をしながら、心は風原さんに向いていた。
風原さんのアナウンサーとしての技量に憧れる。
私の憧れで、いつか彼みたいなアナウンサーになりたい……。
そう考えて、何かが違うと感じた。
憧れの気持ちは確かにあるけれど、
今回感じたのは、もっと素直で正直な気持ちのはず。
正直な気持ちは……
口に出してしまうと後戻りできなくなるから、言わないけれど……。