俺様御曹司の悩殺プロポーズ
缶珈琲は、私の物ではなかった。
ペットボトルのお茶はいつも持ち歩いているけど、缶珈琲は滅多に買わない。
買ったとしても、プルトップを開けた状態で席を離れるなんて、絶対にしない。
その理由はもちろん、パソコンも含めて、仕事に関する大事な物が置いてあるからで……。
使い物にならなくなったノートパソコンを両手に持ったまま、固まっていた。
そこに、佐川亜梨沙が通り掛かった。
彼女のデスクは、机数個離れた場所にある。
自分のデスクに向かっていた彼女は、私の机の惨状を見て足を止めた。
話し掛けられたのは、これが初めてかもしれない。
でもその言葉は、決して嬉しいものではなかった。
「何をぼんやりしているの?
こぼしたのなら、早く拭きなさい」
「あ、これは……」
「そのパソコン、局の物よね。
机を片付けて、部長に報告しに行きなさい。
あなたは本当に呆れた人ね」