俺様御曹司の悩殺プロポーズ
◇◇
それから数日が経ち――。
夜の20時。
風原さんの家で、いつものように個人レッスンを受けていた。
ダイニングテーブルに、向かい合って座る私達。
風原さんの手にはストップウォッチ、私の手元には初見のニュース原稿が5本。
5本のニュースを、5分に収める練習をしていた。
「経済諮問会議では、日本経済の先行きについて――
原油価格の下落を受け、景気回復への期待が――」
「ストップ」
「へ?」
読んでいたのは、三つ目のニュース。
まだあと二つあるのに、止められてしまった。
風原さんのハンサムな眉間にシワが寄る。
「おい、一行飛ばして読むアホがいるか」
「飛んでました?
え……どこかな……」
ニュース原稿を持ち上げて、アホ丸出しな顔を隠しつつ、飛ばした場所を探していたら、
原稿を手から抜き取られてしまった。
風原さんは瞳の幅を狭めて、正面から私をジッと見ている。
ヤバイ……怒らせちゃった?
そう思って焦ったけど、そうではなかった。
風原さんは心配そうな声色で、こんなことを聞いてきた。
「このところ、元気がないとは思っていたが……何かあったのか?」
何か……あった。
それも缶珈琲の件だけじゃなく、その後も色々と。