俺様御曹司の悩殺プロポーズ
時計を見ると、12時50分。
あと40分しかない。
慌ててスタジオを飛び出し、周囲を見回した。
運よく少し先に、客を下ろしている最中のタクシーがいた。
そこに猛スピードで駆け寄り、
閉まろうとしていたドアを力任せに開けて、中に体を滑り込ませた。
驚いている運転手さんに、焦りながら聞く。
「すみません、急いでいるんです!
桜テレビの八重桜スタジオまで行きたいのですが、40分で着きますか?」
東京の地理をまだ理解していない私には、
ここから八重桜スタジオまでの道のりも所要時間も、さっぱりわからない。
タクシー運転手さんは、
「あーあそこね。40分もかかりませんよ。20分くらいです」
そんな、ありがたい言葉を言ってくれた。
よ、よかった……。
ホッとして力が抜け、体がズズズとシートを滑った。
運転手さんは車を発車させながら、バックミラーで私をチラチラ見て話し掛けてきた。