俺様御曹司の悩殺プロポーズ
「いや〜渋滞にはまってしまいました。お急ぎのところ、すみませんね〜。
いつもはこんな時間に、この道は混まないはずなんだけど、おかしいな〜。
きっと前の方で、事故でもあったんでしょうね。
お客さん、どうします?
歩いた方が早いかもしれませんよ?」
嘘っ!? 事故で渋滞!?
私って、どんだけついてない女なのよ!!
歩いた方が早いと言われたので、
「下ろして下さい!」と叫んで、タクシーから飛び出した。
取りあえず、タクシーが向かっていた方向へと走ってみた。
ギラギラ熱い日差しの中、荷物を抱え、ローヒールのパンプスでアスファルトを走る。
渋滞の車列の横を、走って走って、息が苦しくなってから、ふと気づく。
八重桜スタジオの住所はわかるけど、行ったこともなければ見たこともない。
今自分がどこを走っているのかもわからないし、
後どれくらい走れば着くのかもわからない。
遅刻の恐怖で、完全にパニック状態に陥る私。
何もかもがわからないまま、呼吸を荒げて必死に走っていたけれど、
小さな凹凸にパンプスの爪先を引っ掛け、アスファルトに転んで膝を擦りむいてしまった。