俺様御曹司の悩殺プロポーズ
ひざ小僧に染み出す血と共に、涙もじんわり浮かんでくる。
どうしよう……このままだと、間に合わない……
遅刻しちゃう……。
助けて……誰か助けて……
助けてよ、風原さーんっ!!
泣きながらスマホを取り出し、風原さんに電話をかけた。
仕事中で出てくれないかもしれないけど、縋れる相手を彼しか思い付けなかった。
祈る思いでかけた電話に、彼は三回コールで出てくれた。
「はい、風原です。
すみませんが、これから打ち合わせがありますので、後でかけ直しても……」
どうやら周囲に人がいるみたいで、電話の向こうの彼は表モード。
やけに丁寧に話す仕事中の彼に向け、私は泣きながら叫んだ。
「風原さん、どうしよう!
渋滞でスタジオにたどり着けなくて、遅刻しちゃう!
ここがどこだかわかんないし、私……ううっ……」
「収録場所はどこだ?」
「八重桜スタジオです。
13時30分までに入らないといけないのに……浜本さんが司会なのに……
う……うわーん!私はもうダメなんですー!」
「小春、落ち着け。俺の言う通りにしろ。
地図アプリを開いてスクリーンショットして、現在地を俺に送れ。
それと、今お前が立っている場所の周囲の建物の静止画もカメラ撮影して、一緒に送れ。
あとは、その場を動くな。
俺が迎えに行くまで待ってろ」
「え? で、でも道路が渋滞して……あっ!」