俺様御曹司の悩殺プロポーズ
時刻は13時15分になっていた。
目の前の片道二車線の道路は、相変わらず渋滞している。
迎えに行くと言ってくれた風原さんだけど、車なんだから、ここには中々たどり着けないよ。
あと15分か……。
もう無理だから、林プロデューサーに「遅刻します」と電話しようか。
激怒させてしまうことを覚悟して……。
溜め息をついて立ち上がった。
涙を拭い、スマホ画面に林プロデューサーの名前を表示させる。
その時……
一台の黒いバイクが、目の前に止まった。
フルフェイスのヘルメットを被っているから顔は見えないけど、
それが風原さんであることは間違いなかった。
だって、今朝モーニング・ウインドに出演した時のままの、高級スーツ姿だったから。
私用の赤いヘルメットをポンと投げて渡され、
立てた親指で「後ろに乗れ」と合図された。
てっきり車で来ると思っていた私は、物凄く驚いていた。
駆け寄って、聞いてみた。
「このバイク……どうしたんですか!?」
「打ち合わせで集まっていた奴らの中から、バイク通勤の奴を探して借りた」
「そ、そうだ、風原さんの打ち合わせは……」
「急用だと言って、抜けてきた」
「急用……?」
「急用だろ。早く乗れ」
「は、はい!」