俺様御曹司の悩殺プロポーズ
バイクに乗るのは初めてで、後ろのシートによじ登るようにして乗ろうとしたら、
なぜか待ったをかけられた。
風原さんは高級スーツのジャケットを脱いで、その両袖を私の腰の辺りで結んだ。
「これを巻いとけ。ミニスカートじゃパンツが見えるぞ。
見せてもいい牛柄の毛糸のパンツを履いているなら、巻かなくてもいいけどな」
「なっ……!?」
何を言っているのか、この男。
汗の流れる真夏に、毛糸のパンツは履かないし、毛糸のパンツは見せパンでもない。
私が東京に来ることになったキッカケの“牛子の毛糸のパンツ”をまだ覚えているなんて……。
いい加減に、忘れて欲しいのに!
フルフェイスのヘルメットの向こうで、
風原さんが口の端を吊り上げ、ニヤリと意地悪く笑っている気がした。
「時間がない。早くしろ」
頬を膨らませた私の頭に、赤いヘルメットがスッポリと被せられた。
腰に彼のスーツのジャケットを巻いた姿で、バイクの後部シートに跨がると、
「飛ばすぞ。しっかり掴まってろ」
そう言われて、バイクは唸りを上げて渋滞の道路に走り出た。