俺様御曹司の悩殺プロポーズ
 


ヘルメットの中の眩しい笑顔を想像すると、胸がキュンと音を立てる。



今までなら「また私をからかって……」とむくれるところだけど、

恋を自覚した今は違った。


笑ってくれることが、素直に嬉しい……。



喜びと共に感じるのは、深い感謝の気持ち。


駆け付けてくれた彼に、何とお礼を言っていいものか……。



「風原さん、あの、私……」



“ありがとう”の一言では伝えきれないこの想いを口にしようとしたら、

彼はウインカーを上げて車道に出てしまう。



「早く行け。きっちり仕事してこいよ」



そんな言葉を残して走り去り、あっという間に見えなくなってしまった。



お礼も言わせてもらえなかった……。



スマホを取り出し、彼に宛ててメールを打つ。



『ありがとうございました。
今日の収録、精一杯頑張ってきます。オンエアを楽しみにしていて下さい』



送信し終えるとクルリと向きを変え、スタジオ内に駆け込んだ。



うん、頑張ろう。

風原さんの優しさを無駄にしないように。


今私にできる恩返しは、それしか思いつかないから。




――――……




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