俺様御曹司の悩殺プロポーズ
私がそう言っても、佐川亜梨沙は動じなかった。
眉を潜めてメモを一読し、淡々とこう切り返すだけ。
「私じゃないわよ。失礼なこと言わないで。
このメモ帳を私も持っているから疑うの?随分と短絡的な思考。
自分の頭の悪さを、暴露しているようなものね。
嫌がらせを受けていることには、気づかなかったわ。
もしかして、缶珈琲で局のパソコンを壊した件も、その一つだったのかしら?」
問い詰められたのに、彼女に動揺は微塵も感じられなかった。
パッチリ二重の大きな瞳で、ジッと私の反応を見ている。
私の手の中で、メモ用紙がグシャリと形を変えた。
自分でやっておきながら、あくまでも冷静にシラを切り通そうとする、
その姿勢に怒りが加速した。
握り潰したメモ用紙を力一杯床に投げ捨て、怒りの全てを彼女にぶつけた。
「しらばっくれないで!
缶珈琲の件も、衣装のポケットにチョコレートを仕込んだのも、
偽メールで収録場所を間違えさせたのも、全てあなたの仕業なのに!
風原さんにまで迷惑かけちゃったんですよ?
風原さんはさっき、スタッフさん達に頭を下げて回っていて……
もうっ、絶対に許さないんだから!!」