俺様御曹司の悩殺プロポーズ
怒りが頂点に達した私は、思わず手を振り上げてしまった。
佐川アナは「キャア!」と叫んで、両手で顔を庇っている。
彼女の手から離れた手鏡が、床に落ちてパリンと音を立てた。
思い切り振り下ろした、私の右手は……
彼女に届かなかった。
横からスーツの腕が伸びてきて、
彼女まで20センチの距離で、誰かが私の手首を掴んで止めたのだ。
その逞しい腕は、花ちゃんではなく風原さんだった。
いつの間にか、メイク室に入ってきていた風原さん。
彼は痛いほどに私の手首を握りしめ、鋭い声で私を叱った。
「佐川は犯人じゃないと言っているだろう。
生放送前に、馬鹿な真似をして……。
モーニング・ウインドの顔に手を上げることは、許さない。
次に同じことをしたら、俺がお前を番組から下ろすぞ」