俺様御曹司の悩殺プロポーズ
「佐川さん、申し訳ない。
私の方からよく言い聞かせますので、どうかこのことは……」
佐川アナは、足を止めて振り向いた。
長い髪を後ろに払い、クスリと笑って彼に言う。
「どうして風原さんが謝るのかしら?
あからさまなフォローは、深い関係性を疑わせるものですよ?
お二人がどういう仲なのか……。
私はそれに興味がないけれど、番組に支障がでないようにお願いします。
上に余計な報告はしないから安心して。
風原さんとは上手くやっていきたいの。モーニング・ウインドで共演している限りは」
佐川アナが出て行くと、風原さんはやっと掴んでいた私の腕を離してくれた。
その手は頭へ。
私の頭をポンと叩いて、
「頭を冷やせ」と溜め息混じりに言った。
頭は……冷えた。
ついでに心も冷えた。
どうせ私なんか、馬鹿でアホで、ドジで間抜けなダメ女子アナだから、
やっぱり東京なんて、初めから無理なんだよ。