俺様御曹司の悩殺プロポーズ
中村アナはニッコリ笑いかけてから歩き去り、
机数個離れた自分のデスクで、パソコンを起動させていた。
その様子を横目で見ながら、肌が粟立つ二の腕を両手で擦った。
冷房が効きすぎているのだろうか……?
きっと、そう。
そうに違いない。
そういうことにして、鞄の中から薄手のカーディガンを取り出し、羽織ってみた。
鳥肌が立ったのは、冷房のせい。
優しい中村アナの笑顔が、怖かったからだなんて……
そんなこと思ってないよ。
退社したのは、14時半を過ぎてから。
早出の私は、もう少し早く帰ってもいいのだけど、
集中できずにダラダラ仕事をしてしまった結果、こんな時間になってしまった。
テレビ局を出て、熱い日差しの中を駅に向けて歩いていると、
鞄の中でスマホが震えた。
それはメールではなく電話で、ディスプレイには風原さんの名前が表示されていた。