俺様御曹司の悩殺プロポーズ
しばらく二人は無言だった。
笑顔で視線をぶつけ、探り合いが続いていた。
その沈黙を破って先に口を開いたのは、中村アナ。
「何と言われましても、私には身に覚えがないことなので、それ以外に表現する言葉はありません。
風原さん、お話はこれだけですか?
疑われていることを理解しましたので、もう失礼しても宜しいでしょうか?
ひるリッチ以外にも、仕事がありますので」
「待って下さい。まだ帰しませんよ。もう少し付き合って下さい。
自ら罪を認める気がないのなら、あなたを犯人とした理由をご説明しましょう」
風原さんはミステリードラマに出てくる探偵のように、説明を始めた。
私に火曜のコーナーを取られたという動機から始まり、
今までの嫌がらせの全てにおいて、中村アナが犯行可能だということを、筋道立てて説明していた。
徐々に追い詰められていくように見えた中村アナだけど……、
余裕の微笑みは崩れない。
「その日は急ぎの仕事を抱えていたので、早目に出勤していただけです」
「口紅ですか?
ああ、佐川さんの口紅が綺麗だと思って、何を使っているのか確かに聞きましたけれど、それだけです。
私が同じ物を購入した証拠でもあるのですか?」
そんな風に中村アナは、犯人とする風原さんの追及を上手くかわしていた。