俺様御曹司の悩殺プロポーズ
「他に日野さんは、どんな嫌がらせをされたのですか?」
クスクスと笑う中村アナに、そう聞かれた。
他の嫌がらせと言えば、大きな物は偽メール。
収録場所の変更を告げるあのメールのせいで、大変な事態になるところで、
助けてくれた風原さんには、大きな迷惑をかけてしまった。
それを頭に浮かべた時、やっぱり犯人は中村アナじゃないと思った。
だって、あの偽メールが届いたのは、
中村アナがちょうど、ひるリッチに出演していた時間だから。
ソファーに置いた鞄の中から急いでスマホを取り出し、
偽メールを画面に表示して風原さんに見せた。
「風原さん、やっぱり違います。中村さんは犯人じゃありません」
メールが届いた時間は12時1分だった。
生放送のひるリッチが始まるのは、12時ちょうど。
メールが届いた時、中村アナはスタジオでカメラ前に立っていて、
私に偽メールを送ることはできないのだ。
スマホに表示された時間を見せて説明する私に、
中村アナは「そうそう」と頷いていた。
風原さんの考え違い……そう思った私だけど、
彼は慌てずにこう言った。
「指定時刻にメール送信予約ができるアプリが、幾つか存在する。
それを使えば12時1分に本人が操作しなくても、メールを送ることができる。
だが……中村さんはそれを使わなかった。そのアプリを知らなかったのかもしれない。
予約送信しない代わりに、中村さんはこうやって偽メールを送っていた……」