俺様御曹司の悩殺プロポーズ
戸惑いながら長い廊下を走り、モーニング・ウインド放送中のスタジオの前にたどり着いた。
ドア前には若い男性ADさんが待っていて、
「日野さん、早く!」
と、私の背中をドアの内側へ押し込んだ。
中に入ると既にオープニングが終わるところで、
風原さんがいつもの爽やかな職業スマイルで、カメラに向けて話していた。
「――ということで、本日は佐川さんがお休みとなっています。ご了承下さい。
それでは10月29日木曜日のモーニング・ウインド、朝の一時間半にお付き合い下さい」
いつもはこの後すぐに、朝採りニュースのコーナーに入るのだが、
今日は一旦CMを挟むらしい。
「CM入りました、30秒!」
と言うスタッフさんの声と同時に、アナウンサー担当ディレクターさんが私に駆け寄り、
手の中に原稿の束を押し込んてきた。
それは、今日佐川さんが読むはずだった朝採りのニュース原稿で、
「あ、あの……」
と戸惑う私の声は無視され、セット中央の、風原さんの前に押し出されてしまった。