俺様御曹司の悩殺プロポーズ
目にじわりと涙がにじみ、風原さんの姿がぼやけて見えた。
受けた衝撃を少しでも軽くしたくて、自分の心に言い聞かせる。
この恋は初めから、実るはずのないものなんだよ……。
今をときめく人気No.1アナウンサーの彼と、田舎者でダメ女子アナの私。
誰が見たって釣り合わないもの。
風原さんには私なんかより、佐川さんみたいな美しく、中身も素晴らしい女性が似合う。
佐川さんみたいな……そっか。
佐川さんのお見舞いに毎日通っていた本当の理由は、仕事の話でも、S心を刺激されたからでもなく、
ただ純粋に好きになったからなんだ。
私も佐川さんは好き。
私に足りない物を全て兼ね備えている彼女に、強く憧れる。
悲しいけど勝ち目はないし、大人しく諦めて、二人を祝福するべきだよね……。
頭の中であれこれ考えて結論を出し、ソファーに座る彼に言った。
「佐川さんと、どうかお幸せに……」
泣くのは卑怯だから嫌なのに、目に溜まる涙の量はどんどん増えてしまう。
溢れ出した涙は、頬を伝ってポタポタと流れ落ちた。
ポケットから取り出したのは合鍵で、微かに震える手でそれを差し出す。
鍵に向けて、風原さんの手が伸びてきた。
その手は鍵を素通りして、なぜか私の手首をきつく掴み……、
強い力で引っ張られて、彼の胸に飛び込んでしまった。