俺様御曹司の悩殺プロポーズ
北海道談義で盛り上がり、気づけばお酒を飲むペースも上がっていた。
梅酒サワーを3、4、5杯と空にして、目も虚ろになってくる。
麵堂くんもかなり酔っていた。
テーブルに置いていた私の左手に、なぜか彼の右手が重なり、ゆっくりと撫でられていた。
「小春って、田舎者を隠さないよね。素朴で純粋で可愛い。僕、結構スキかな」
酔いの回る頭で、ん?と考える。
“日野さん”からいつの間にか、“小春”に呼び名が変わっている。
敬語も崩れているし、『結構スキ』って……
あれ?私は今、口説かれているのかな?
麵堂くんと色恋沙汰になるのは困るので、やんわりと彼の言葉を交わそうと試みた。
「も〜麵堂くんたら、飲み過ぎですよ〜。
酔いが醒めたら言ったこと後悔しますよ〜?
私なんて可愛くも純粋でもないんです。
今は心の中がドロドロしちゃって、淋しすぎて、もう嫌ーっ!て叫びたい毎日なんだから」
「へぇ、小春は地元から離れて淋しいのか。
それなら僕が慰めてあげるよ。色々とね……」
そう言った麵堂くんの目は、酔っ払い特有の据わった目をしていた。
私の左手をすりすり触っていた彼の右手が、ゆっくりと胸に向けて伸びてくる。
「えっ⁉︎ ち、ちょっと麵堂くん⁉︎」
驚く私の胸元に、彼の指先が触れそうになったその時、
「うわっ! 冷たっ!」と麵堂くんが叫んで、手を引っ込めた。
彼の背後にはいつの間にか風原さんが立っていて、麵堂くんの頭めがけてジョッキの中の氷水をぶちまけていた。