俺様御曹司の悩殺プロポーズ



泣くほど喜んだ花ちゃんは、張り切って動き始めた。


麵堂くんの腕を掴んで立たせると、脂肪たっぷりのお尻をペンと叩いて、こう言った。



「ほらこっちに来なさいよ。お店の人にタオルでも貸してもらいましょ。服はその辺で買ってくればいいかしら?

まったく、面倒な子ね〜。水くらい、サッと避けなさいよね〜」



花ちゃんに引っ張られて、彼が店の奥へと消えていった。


私達の様子に興味を示していた周りの人は、事故処理が終わったのを見て、元の酔っ払い談義にすぐに戻っていく。



私だけ、まだマヌケ面してポカンと口を開けていた。

そんな私に風原さんはボソリと言う。


「荷物とコートを持って、店の外に出ろ」


それだけ言い終わると私の側をスッと離れて、スマホで誰かに電話をかけながら、先に店の外に出て行った。



言われた通り、私は預けていたコートを店の人から受け取って、バッグを持って後を追おうとした。


すると、幹事のADさんに「日野さん、もう帰るんですか?」と声をかけられた。


「いえ、そうじゃないんですけど、ちょっと……」



言葉を濁して店を出る。

商業ビルの地下一階には、この和食ダイニング以外にも数軒の飲食店が入っていて、廊下は賑やかだった。


キョロキョロと辺りを見回すが、風原さんの姿はない。


寒いのでコートを着て廊下を歩き、どこに行ったのだろうと彼の姿を探していた。


その時、バッグの中でスマホが震えた。


取り出して見ると、風原さんからのメールで、
【ビルの外に出て右へ真っすぐ歩け】と書かれていた。



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