俺様御曹司の悩殺プロポーズ
『忘年会が終われば、次は大晦日。年末年始の予定は決まっていますか?
海外で過ごす人や実家に帰省する人、様々かと思いますがーー』
それについては「私は田舎に帰ります」と無言で答えていたら、スマホがメールの着信を告げた。
それはさっき別れたばかりの風原さんからで、
【言い忘れたが、正月は帰るなよ】という文面だった。
なぬ?と眉をひそめる。
まだ訛りがどうこう言うのだろうか。
もう訛りがあると指摘されなくなっているし、気をつけるから、お正月くらいは帰ってもいいじゃない。
どうせ風原さんは、構ってくれないのだろうし……。
反論の返信をしようとしていると、それを遮るように二通目のメールがきた。
【一日の夕方から二日の昼まで、スケジュールが空いているから、一泊で温泉に連れて行ってやる。
政財界の大物達も御用達の隠れ家的宿で、他の客と顔を合わせることはない。秘密は厳守してくれる】
そのメールに「え……」と呟いてしまった。
一泊で温泉なんてすっごく嬉しいけど、それよりも戸惑いの方が大きい。
佐川さんとの熱愛の噂で、風原さんの周囲にはまだスクープを狙う雑誌記者達が張り付いているはず。
私達が距離を置かなければならないのもそのせいなのに、旅行なんて危険なことをどうして言い出すのか。
風原さん……もしかして結構酔ってるとか?
普段は慎重すぎるほどの人なのに、どうしちゃったの?