俺様御曹司の悩殺プロポーズ
どれくらい眠ってしまったのか……。
「小春、もう着くから起きろ」
そう言われて、フゴッと目を覚ました。
毛布を剥いで、後部席に身を起こす。
辺りはすっかり夜の暗さで、カーナビのディスプレイは18時35分を示していた。
私、二時間も寝ていたみたい……。
朝から15時頃まで働いていた風原さんに長時間運転させて、丸一日休みの私が後ろでぐーすか眠りこけるなんて、失礼な話だ。
早速、失態をやらかしてしまったと、若干凹んでしまった。
でも、下がってしまったテンションは、窓の外を見るとすぐに復活した。
「わぁ!あれが今晩泊まる所ですね!」
徐行で細道を進む車から、行灯に照らされる和風旅館の門構えが見えた。
柔らかな光の中に、『水華亭 桂川』と書かれた風情ある木の看板が浮かび上がっている。
門の前で風原さんがウインカーを上げると、すぐに木の扉が開いて、車は中へと入って行った。
石畳の道をゆっくり進み車が止まった場所は、旅館の正面玄関前。
そこには女将さんらしき着物姿の年輩女性と、中居さんらしき若い女性、
それから作務衣姿の中年男性がいて、並んで私達を出迎えてくれた。