俺様御曹司の悩殺プロポーズ
車を下りた私達に女将さんは、「ようこそお越しくださいました」と丁寧なお辞儀をしてくれて、その後風原さんと話し始めた。
「本当にご立派になられましたねぇ」
「いえ、まだまだ足りない物が多い半人前の人間ですよ。
女将さんにも迷惑をかけてしまいました。
急な予約に無理を聞いていただいて、申し訳ありませんでした」
「無理だなんて、とんでもございません。
風原のお坊ちゃまの頼みですもの、できるだけのことはさせてもらいます。
それに、お久しぶりで、またお会いできて嬉しゅうございます」
風原のお坊ちゃま……?
そう呼ばれたことにピクリと反応して、隣に立つ風原さんの顔を見上げた。
私の視線を感じた風原さんは、苦笑いしながら女将さんに注文をつける。
「その呼び名は恥ずかしいので、どうか……。
もう31ですから。
それと、私がこちらに泊まることを、できれば父には内緒にしてもらいたい」
「承知いたしました。手前共はお客様の情報は厳守いたします。
例えお身内の方であっても秘密は漏らしませんので、ご安心くださいませ」
「ありがとう。お世話になります」