俺様御曹司の悩殺プロポーズ
その説明を聞いて、色々なことに納得していた。
予約をしたのは二週間ほど前なのに、よく元旦に部屋が空いていたものだと思っていた。
それから、風原さんは有名人で、私も一応テレビに顔が出ている人間。
旅館の人が秘密を守ってくれるとしても、他の利用客に見つかって、私達の関係が公にされてしまうことも十分に考えられた。
慎重な風原さんが旅行しようと言い出して、大丈夫なの?と思っていたけど、この宿なら絶対に秘密はバレないと考えていいみたい。
「ほ〜」と納得した後は、喜びがじんわり胸に広がる。
風原さんが初めて家のことを話してくれたのも嬉しいし、
仲が良くないお父さんの常宿を使ってまで、私と一泊旅行したいと思ってくれたこともすごく嬉しかった。
玄関の引き戸を開けて、石畳みの小道を離れに向けて歩いて行く風原さん。
空には三日月がぽっかり浮かんでいて、石畳みの上には柔らかな行灯の灯りが揺れていた。
彼の後ろを歩きながら、「えへへ」と照れ笑いを浮かべる。
嬉しいな……。
風原さんたら、私のためにそうまでしてこの高級宿を予約してくれて……ん?高級宿?
そこまで考えて、ふと足を止めた。