俺様御曹司の悩殺プロポーズ
ここが1日たったの5件しか予約を取らない、権力者ご用達の高級宿なのは理解した。
でも、その高級って、どのくらい?
一泊いくらするの?
立ち止まって考えていたので、彼との距離が数メートル離れていた。
ハッとして駆け出して、風原さんの背中にドスンと体当たりを食らわした。
「おわっ!」と声を上げて、彼が二三歩前につんのめり、振り向いて私を叱った。
「何やってんだ!はしゃぐにもほどが……」
「風原さん! ここって、一泊いくらですか⁉︎」
「は? お前に払わせたりしないから安心しろ」
「安心できませんよ! だって私、こんなレベルの高い宿に釣り合う女じゃないんですけど!
一泊二食付きで、せいぜい8,990円くらいが似合う女ですよ!
ここ、すんごい高いんですよね?まさか一泊10万円とか……? に、20万円……?
え、何で黙っているんですか? もしや……桁が違うの⁉︎」
値段の予想すらできずにアワアワしている私の額を、風原さんが指で弾いた。
「痛っ!」
「落ち着け。高いことは否定しないが、滅多に旅行などできないだろうし、たまになら贅沢してもいいだろ。
値段を気にして慌てられるよりも、喜んでくれた方が男としては嬉しいものだぞ?」