俺様御曹司の悩殺プロポーズ



松の木立の中をくねくね曲がる石畳みの小道。

30メートルほど歩くと、ぽっかり開けた場所に別棟が姿を現した。


ここが離れの、椿の間。

母屋と同じく、平屋建ての純日本家屋だ。


引き戸を開けて中に入り、明かりの灯る室内に上がった。


早速あちこち見て回る私。

天然木の大きな座卓のある広い本間の他に、次の間、化粧の間の和室が三室あった。


化粧の間に続く襖を開けると、既に二組の布団が並んで敷かれていて、それを目にした途端にパタリと襖を閉めた。


これはまだ、見てはいけないものだった。

数時間後にここに入るとしても、今はダメ。

意識し過ぎて風原さんの顔を見れなくなっちゃうから……。


次の間に続く襖を開けて中に入る。

この部屋には私達の荷物が運び入れてある他は、特に何もない。


本格的にお茶を点てられる一式が置いてあるけれど、そんな優雅なことはできない女だから、何もないも同然だ。


お点前セットよりはまだ、この掛け軸の方が感想を言いやすい。


床の間には古そうな掛け軸が掛けられていた。

錦鯉2匹が泳いでいるその墨絵は、うちの田舎の実家にも似たようなのがあった気がする。


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