俺様御曹司の悩殺プロポーズ



「どうぞ、お楽しみくださいませ」


女将さん達が笑顔で退室すると、私は風原さんの向かいに座ってコクリと唾を飲み込んだ。


す、すごい……。

もちろん美味しそうだけど、それよりもまずは「美しい」と言う感想が一番先に出でくる。


綺麗で上品で、ものすごく手が込んでいそうな芸術作品を、箸で崩していい物かと迷ってしまう。



風原さんは私のような新鮮な感動はないようで、日本酒の熱燗を口にしながら、料理を口にしていた。


「お前も飲むか?」と杯を勧められたけど、やめておいた。


私はそんなにお酒に強くない。

もし酔っ払ってしまったら、せっかくの二人の夜がもったいない気がして……。



風原さんにお酌をしながら、料理を楽しんだ。


「何これ、すっごく美味しい!」


思わずそう叫んでしまったのは、サイコロ状にカットしてある半透明のオレンジ色の、ムースみたいな食感の不思議な食べ物。


口の中でとろーり溶けて、濃厚な旨味が広がった。


筆文字のお品書きを見ると、それらしき料理の名前は【鮟鱇の肝、ゼリー寄せ】と書いてあった。


鮟鱇……?

その漢字が読めなくて風原さんに尋ねると、
「馬鹿」と罵られてしまう。



「あんこうだろ。アナウンサーのくせに、漢字を知らない奴だな」


「う……」



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