俺様御曹司の悩殺プロポーズ
目的はバスタオルを取りに行くこと。
タオルを体に巻きつけてから、露天へつながる扉を開けて外に出た。
気にしていたのは、この露天風呂がガラス戸越しに室内から見えてしまうことだ。
風原さんが覗きなんてするはずないけど、
見える造りであること自体が恥ずかしくて落ち着けないから、それでバスタオルを巻いて出てきたのだ。
真冬の外気の中に、露天風呂からも私の肌からも、白い湯気が立ち上る。
檜の浴槽は4、5人で入れそうな広さだった。
バスタオルを巻いたまま、ゆっくりと湯に体を沈める。
お湯は無色透明で肌当たりが柔らかく、持ち上げた腕をひと撫ですると、つるりとした感触が気持ちよかった。
「美肌の湯で、全身つるつるになれちゃうかも……うふっ!」
浴槽の縁に両腕を掛けてその上に頭をのせ、庭を眺めていた。
松や紅葉の木々に囲まれた庭は、枯山水。
白い砂が敷き詰められ、水の流れを表す波紋が付けられている。
その中心に椿が植えられていて、ライトアップされる真っ赤な花が、冬の庭に彩りを添えていた。
これでチラチラと雪が降ってくれたら、白と赤のコントラストがさぞや美しいことだろう。