俺様御曹司の悩殺プロポーズ



湯船にちょろちょろと注ぎ込む、温泉の音を聞きながら、

「はぁ〜すっごい気持ちいい……贅沢な時間だよね……」

そんな独り言を呟いていた。


すっかり気を抜いて湯に浸かっていると、

「椿が綺麗に咲いているな」

素敵ボイスのそんな言葉が、後ろに聞こえた。



「そうですね〜」

ぼんやりしたまま返事をした直後にハッとした。

勢いよく振り向くと、そこには腰にタオルを巻いた裸の風原さんがいて、浴槽に片足を入れているところだった。



「きゃああっ‼︎
な、なんで入ってくるんですか‼︎」



悲鳴を上げて浴槽の隅まで逃げる私。

心臓が口から飛び出しそうなほどに驚いていた。

バスタオルを巻いていても恥ずかしくて、両腕で体を抱きしめ隠してしまう。



風原さんならコソコソ覗くことはしないと思っていたのに、覗きじゃなくて堂々と入ってくるとは、私の予想の斜め上を行っていた。


慌てる私を見て風原さんは楽しそう。

浴槽に背をもたれ、縁に片腕を乗せてくつろぎながら、ニヤリと笑って言った。



「なんで入ってきたのかって?
さっきの罰ゲームが混浴だから」



そ、そうだったんだ……。

魚へんの漢字テストの罰ゲームに、混浴を考えていたとは思いもしなかった。


と言うことは、平然と食事をしている間も、私を浴室に案内して「ゆっくりして来いよ」なんてツラっと言った時も、

風原さんの頭には混浴の二文字があったということだよね?


教えてくれなかったのは、私を驚かせるためだろうか?


腹筋100回に怯えていた私って……やっぱりマヌケかも。


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