俺様御曹司の悩殺プロポーズ
やっぱりと言うべきか、風原さんが「父さん……」と低い声で呟いていた。
向こうが一方的に喋っているようで、風原さんの口数は少なかった。
しばらく黙って話を聞いてから、彼は受話器に向けてキッパリと主張した。
「あなたがアナウンサーという職業をどう思われようと勝手ですが、俺は誇りを持って真剣に取り組んできました。
政治家にはなりません。
自分の人生は自分の意思で決めますので、二度とくだらない手紙や電話を寄越さないで下さい」
私は少し離れた位置で、両拳を胸の前で握りしめ、うんうんと頷きながら聞いていた。
大好きな風原さんのお父さんを悪く言いたくはないけど、いい言葉も言えない。
子供だからといって、親の意のままに操れると思うのは間違いだ。
風原さんには風原さんの道がある。
自分の野望に彼を巻き込むのは、やめてと言いたい。
まだ通話は続いていた。
風原さんの表情は険しくて、父親への嫌悪感がひしひしと伝わってくる。
それでも受け答えは冷静で、決して声を荒げることはない。