俺様御曹司の悩殺プロポーズ
衿元から、微かに香水の匂いがした。
付けている量は、極々少量。
ここまで近付かないと、感じることはできない香り。
何の香水かわからないけど、爽やかで素敵な香りだった。
過去に何かのテレビ番組で観た、白亜の建物が並ぶ地中海沿岸の美しい街が、イメージ映像のように浮かんできた。
いい香り……。
そんな気分になり、うっかり拒否することを忘れてしまった私の耳には、
例のごとく、素敵ボイスが忍び込む。
「お前を番組メンバーに入れたいと言った時、スタッフ連中に猛反対されて、大変だったんだぞ?
文句より、感謝の言葉を言うべきだろ……」
感謝できるわけがない。
周りのスタッフさん達の反対に、おとなしく従ってくれた方が、私的にもありがたいのに。
そう言い返したいけれど、もはや私は、文句が言えない状況に陥っていた。
ヤバイ……その声……。
この男、私がその声に弱いと知っていて、あえて色気を含めた声で囁いてくる。