俺様御曹司の悩殺プロポーズ
 


衿元から、微かに香水の匂いがした。


付けている量は、極々少量。


ここまで近付かないと、感じることはできない香り。



何の香水かわからないけど、爽やかで素敵な香りだった。



過去に何かのテレビ番組で観た、白亜の建物が並ぶ地中海沿岸の美しい街が、イメージ映像のように浮かんできた。



いい香り……。

そんな気分になり、うっかり拒否することを忘れてしまった私の耳には、

例のごとく、素敵ボイスが忍び込む。



「お前を番組メンバーに入れたいと言った時、スタッフ連中に猛反対されて、大変だったんだぞ?

文句より、感謝の言葉を言うべきだろ……」



感謝できるわけがない。


周りのスタッフさん達の反対に、おとなしく従ってくれた方が、私的にもありがたいのに。



そう言い返したいけれど、もはや私は、文句が言えない状況に陥っていた。



ヤバイ……その声……。


この男、私がその声に弱いと知っていて、あえて色気を含めた声で囁いてくる。



< 59 / 452 >

この作品をシェア

pagetop