俺様御曹司の悩殺プロポーズ
桜テレビのメイク室が、どこかの高原のように見えてしまった。
心はトリップして、お山に向けて「ヤッホー」と叫びたい気分。
でも、心の高原で爽やかな風に吹かれていたのは、数秒の間だけ。
高原に連れて行ったのも彼なら、現実に連れ戻してくれたのも彼。
「本番前に、間抜け面すんな」
そんな言葉と共に、大きな手の平が私の額をペシンと叩いた。
お陰で現実に戻った私に、風原さんはドアに向けて歩きながら、こう言った。
「さっさとヘアメイクを終わらせて、打ち合わせに参加しろ。
先に行ってるからな」
彼が出て行ったのを見て、慌ててメイク道具を手に取る。
そうだった。
ちょい役の私がこんなに早く出社した理由は、風原さんのやることを見て勉強するため。
早く支度を終えて、後を追わないと。