俺様御曹司の悩殺プロポーズ
緊張しながら原稿を握りしめ、目の前のモニター画面を見つめる。
VTRが切り替わり、隣で風原さんが人差し指で、スタートの合図を出す。
大きく息を吸い込み、私は手元の原稿を読み上げた。
「54年前、醤油工場社長一家4人が殺害された、谷河事件を巡る第二次再審請求で、静岡地裁は証拠が捏造された疑いを――――」
読み終えて、ふぅと息を吐き出し緊張を解いた。
自分では、結構上手く読めた気がする。
報道ニュースの原稿を読む練習は札幌でもしていたし、
初見で読んだ割には、引っ掛からずにスラスラと読めた。
うん、上出来でしょう。
風原さんや佐川アナには遠く及ばなくても、私だって女子アナの端くれ、これくらいできるのよ!
自己評価は90点といったところ。
どうだとばかりに風原さんを見ると、
彼はモニターを停止させるのも忘れ、目を見開いて、驚きの中で私を見つめていた。