俺様御曹司の悩殺プロポーズ
周囲を気にする風原さんは、表向きの爽やかな微笑みを浮かべたまま、
私だけに聞こえる小声で、ビシビシ厳しい指摘をのたまった。
「初見の原稿ということを差し引いても、あれは酷い。
お前、VTRに合わせる気がないだろ?
下ばかり見て読むから、ズレるのは当たり前だ。
初見の原稿は、読みながら、読んでいる部分の一行先を暗記しろ。
漢字の読み間違いが二ヶ所に、ら抜き言葉が一ヶ所。
32秒で読めと言ったのに、35秒掛かっている。
はみ出した3秒分が、次のVTRと被っていたぞ」
う……うおう。
厳しいご指摘が、胸にグッサリ突き刺さる。
私って、ダメダメじゃないか……。
凹む私に、もう一つ。
アナウンサーとして致命的とも言える欠点も、指摘されてしまった。
「お前は、微妙に訛りがある。
気付いていないのか?」
訛り……?
え、私って、訛ってるの?
北海道放送局では確かに「したっけね〜」と方言で締め括っていたけど、
それは土曜昼過ぎの緩い情報番組の中だから、あえて使っていただけ。
実際の私は訛っていると思ったことはないし、誰かに突っ込まれたこともない。