俺様御曹司の悩殺プロポーズ
 


俯く私に風原さんは、こんなフォローの言葉をくれた。



「心配するな。今はダメでも、これから出来る女子アナになればいいと言っただろ?

お前を連れて来たのは俺だから、俺が高みに引き上げる。

徹底的にしごいてやるから、覚悟しろよ」




彼は立ち上がると、別の机から分厚い本を持ってきて、私の膝にドサリと乗せた。



ずっしり重たいこの本の表紙には、『日本語アクセント辞典』と書かれている。



「原稿だけじゃなく、日常会話も全て、イチイチ辞書で調べる癖をつけろ。

正しいアクセントを身につけるためだ。

それと、俺がOKを出すまで、地元の家族や知人との電話、面会を禁止する。

連絡はメールのみ。
訛りから離れる努力をしろ。

分かったか?」



「うっ……」




理由は理解できても、家族と電話できないのはキツイかも……。



上京してまだ二日目なのに、そんなことを言われては、もう早ホームシックになりそう。



徹底的にしごくとの宣告にも、ビクビクしてしまう。


風原さんのしごきって、何だか意地悪そう……。



周囲の目があるので、風原さんは表向き、爽やかイケメンスマイルを浮かべている。


その中に、ニヤリと笑う裏の顔が見えているのは多分私だけで、

背中に冷や汗が流れた。



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