桜の花が散る頃に
 だから。
 だからその分怖かった。
 いつ裏切られるか。いつ嫌われるか。そんな不安が私を飲み込んでいく。
「…大丈夫?」
「……はぃ」
 大丈夫ではない。
 だけど、大丈夫ではないと言った所で何になると言うのだ。何も変わることはないのだ。
 返って三神さんを困らせてしまうだけだろう。それならば、大丈夫だと無理に笑って見せた方が無難だろう。
「本当に?」
「……はぃ…大丈夫で…す」
 そう言えば、大丈夫と心配されたのはずいぶんと久しぶりだった。
 三神さんは随分前から話しかけてくれているけれど、大丈夫と問いかけられたのは初めてだった。
「ありがとうございます。三神さん」
 瞬間三神さんは〔ニヤリ〕と笑った。
「え?三…神さ…ん?」
「おーい。畠山っ人殺しさんはまだまだいじめられたいってさっ
全然余裕だとさ」
 何?
 金属バットで頭を殴られたような痛みが襲ってきた。
「ハイハイ。マゾなのかな!?」
「ちょっ三神さ」
 バシィンっ
 私が三神さんに近づいたと同時に乾いた音が教室に響き渡った。瞬間頬に激痛が走った。
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