桜の花が散る頃に
「友達ごっこは終わりよっ誰が人殺しなんかと友達になるのよ!
人殺しがうつるから近寄らないでくれる?」
「そ…んな」
 思わず涙が溢れる。
「その顔っ!ほんっと最高ねっ!!やっと表情がでたわね」
 今まで押さえてきた思いが涙となって溢れていく。
「人殺しなんか死ねよ」
 三神さん。
 やっぱり信じなくて良かった。「もしも」を望んでいたのは本当だけど信じてはいなかった。
 やっぱり私は死ぬべき存在に値する。
「分かりました…今まですいませんでした」
 言うが早いか私はカバンをとり、静止の声など聞こえないくらいに登校した道を走り戻った。
 何回も何回も人にぶつかった。
 そんなことを忘れるくらいがむしゃらに走っていた。
 秋の冷たい風が頬を撫でる。
 こんな人生もう嫌だ。
 目の前に立ちはだかる大きな病院の中にあの人はいるのだろうか。
 関係ない。ここで死のう。
 消毒液の臭いがする白い建物の中に駆け込んだ。
 バンッ
 看護婦の止める声を無視して階段をかけ上がり、勢いよく屋上のドアを開けた。
 手すりに手をかけ落ちよう。
「ダメだぁああっ」
「さよなら。この世界」
 誰か知らない少年の声と、私の声はほぼ同時だった。
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