ショータロー☆コンプレックス2
「たかが風邪。されど風邪。早めに治しておかないとな。すこぶる腕が良いって評判の医者を知ってるからさ」


そう言いながら、辻谷は右にウィンカーを出し、タイミングを見計らって車線変更をした。


オレのアパートへの帰宅ルートを外れ、その病院に向かうつもりらしい。


「いや~、グッドタイミングだったな~。どういう風に潜り込もうか考えてたけど……」


「え?」
「あ、何でもない」


何故か辻谷は慌てて口をつぐんだ。


訝しく思いながらも、勝手なスケジュール変更に対する異議を申し立てる。


「ていうか、良いよ病院なんて。アパートの近くの薬局で、安い風邪薬買うから。うかつに病院なんか行ったらどさくさに紛れてあちこち検査されちゃうかもしれないし」


「全身くまなく診てもらえるなら、むしろその方が安心じゃねーか。何がダメなんだ?」


「いや、だって、その分診察代がかかるじゃん」


今月は何かと出費が多かったから…。


瑠美ちゃんへのプレゼント代やレストランでの食事代、レンタカー代等々。


もちろん、自分がそうしたかったからしただけで、全然後悔なんかはしてないけどさ。


でも、しばらくは切り詰めた生活をして行かないと。


だからさっき、辻谷にケガを負わせてしまったと知って、色々と考えてしまったのだ。
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