ショータロー☆コンプレックス2
かといって、だったら二人の関係性を表す言葉は一体何なのかと問われても、とっさには思い浮かばないけど。


「そんな訳だから、遠慮すんな。ただの風邪なら初診料だってそんなに取られる事はないだろうし。あ。でも、保険証が無いか?」


ハタと気付いたようにそう言う辻谷に、よせば良いのに、オレは思わずバカ正直に返答してしまった。


「いや。一応持って来てはいる」


「え?マジか?」


「うん」


もし万が一稽古中に症状が急激に悪化してしまった場合、そのまま病院に直行できるよう、念のため出掛けに財布の中に入れて来たのだ。


まぁ、そういった事態は免れたし、今の今までそんな気はキレイさっぱり消え失せていたんだけども。


しかし、ここまで医者にかかる必要性を熱弁されてしまうと、何だか断るのがとってもしのびない。


「そっか。ならもう、何も心配する事はねーよな。んじゃ、病院目指してレッツゴー!」


無駄にハイテンションに、古くさい掛け声を発する辻谷のその様子にすこぶるモヤモヤとした気持ちにはなったものの、走行中の車内から逃げられる訳もなく、結局オレはそのまま強引に押し切られる形で、彼オススメの病院へと向かう羽目になってしまったのだった。


「……結構走ったね」


約20分後、病院の駐車場に到着した所で、オレは率直な感想を述べた。


「ちょっとのどかな感じ。辻谷…さんて、家はこの辺なの?」
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