ショータロー☆コンプレックス2
この近辺に住んでいるのだとしたら風の便りで自然と評判が耳に入って来るだろうけど、そうじゃないって、さっきはっきり答えていたし。


単純に、知人から勧められたりネットや他の媒体で調べたりしてここの存在を知ったのかもしれないけど、ただ情報を見聞きしていただけでは、いくら運転慣れしているとはいえ、自分の居住地とはだいぶ離れた地域にある、大通りから外れた住宅街の中の、かなり分かりづらいこの場所に、ナビにも頼らずこんなにすんなりとたどり着くのはまず無理なのではなかろうか。


て事は以前に一度(もしくは数回)ここにお世話になっていた可能性が大だけれど、でも、さっきアイツは「どういう風に潜り込もうか」って、言いやがったんだよな。


つまり建物の中に入る機会に恵まれたのは今日が初めてって事になる。


あの時は突然の申し出に気を取られていてそこは深く追求しなかったけど、やっぱ、改めて思い返してみると随分けったいな言い回しだよな。


近所に住んでいる訳でもなければ、以前ここにかかった訳でもないのに、それでも建物の位置を正確に把握している。


という事は、これってもしかして……。

「それ、もう大丈夫よ」


そんな風に自分の世界に入り込んで悶々と考えを巡らせていたら、いきなり隣に座る女性から声をかけられた。


「……え?」


「体温計。さっき【ピピ】って音がしてたでしょ?もう外して大丈夫よ」
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