いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。


「心咲、本当に分からないの………?」


震える声でお姉ちゃんが言うから、私はコクンと頷いた。


「……お、母さん、だよ……?」

「え?」

「この人、私と心咲のお母さんなんだよ……?」


頭の中が、グルグル回る。


───ズキン、ズキン。


また、痛みが強くなった。


「お、母さん………」

「うん、そうだよ……」

「私の、お母さん………」


………思い出した。


この人は私のお母さんで、私は今、お姉ちゃんとお母さんと一緒にお昼ご飯を食べていたんだ。


………なんで、忘れてしまったんだろう。


私にとってお母さんは、自分の命と同じくらい、ううん、それよりも大切で大事な人なのに。


「……心咲。今日、これから病院に行こうね……」


ひどく悲しそうな顔で笑うお母さん。


私はそんなお母さんに、なんて言っていいのか分からなかった。


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