あと少しの恋
ちらりと希瀬さんがこちらを見た気がした
「由貴さん今日あの会社休みますごめんなさい」
私は由貴さんに謝って車に乗り込んだ
私、なにやってんだろ
「おまえ罪悪感で乗り込んだ?」
「あっ···えっ」
私は希瀬さんが耳元で囁いた言葉に頬を赤らめた
「キスしろよ」
そう希瀬さんは言ったのだ
私はゆっくり深呼吸して頬にキスをした
離れようとした私を希瀬さんは手繰り寄せ深めのキスをしてきた
「希瀬さん」
「希瀬だ」
「希瀬···」
よくできましたと頭を撫でてくる
「病院よりおまえを独占したいんだけどな」
希瀬さんは時々、大人っぽくて子供っぽい
「ダメですよちゃんといかなきゃ」
でも車は何故か希瀬さんの家に着いていた
部屋に戻るとなにも言わず私をベッドに押し倒した
「希瀬···さん?」
「泣くなよ泣くなら可愛く鳴けよ」
シャツを乱暴に脱ぎ捨て私にキスをした
私はなすがまま希瀬さんのキスに答えた
服の上から手が這いずる
まるでなにかを確かめるように
そのまま私は希瀬さんに体を預け快感の波に酔いしれていた
でも気づいたら眠ってたらしくドアの開く音で目が覚めた
私に冷たい飲み物を差し出しながら言う
「医者に怒られてきた」
笑いながら言うけどそうだよね
「当たり前ですよ」
私もつられて笑う
「やっとらしくなったな」
希瀬さんは笑いながら耳元で小さく囁く
「気持ちよかったろ」
耳元で囁くなんて反則すぎる
顔まで真っ赤にして私は言葉を飲み込んだ
「本当おまえって可愛いな」
「それって誰にでも言ってます?」
「さあな」
くくっと喉で笑って希瀬さんは言う
希瀬さんといい感じの時になんでか携帯が鳴った
「もしもし鈴?
電話にでないなんてよっぽど希瀬が気に入ったか?」
「そういうつもりじゃ」
「いつもの駅で待ってる」
「はい」
けじめをつけなきゃ
私は希瀬さんに言う
「ちょっと行ってきます」
「用事か?」
「はい···同僚がどうしてもできない仕事があるみたいで」
希瀬さんはそれ以上は追求してこなかったので私は由貴さんをいつも待つホームに向かった
ホームにはもう由貴さんがいて私は手を振った
「由貴さん」
「希瀬とずいぶん楽しんだみたいだな」
「そんなことないですよ」
信じられないという風な顔で由貴さんは私を抱きしめてキスをする
「今度は俺の番だ」
この義兄弟、本当に腹黒すぎる
「希瀬は本当に狡い奴だよ
あいつはいつでも女にああやって媚びてる」
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