あと少しの恋
「なにが食べたい?」
でもごまかすのは大人だから
「ん~悩みますね」
希瀬さんならきっと牛丼になるんだろうな
「とりあえず行くか」
「はい」
私は由貴さんの車に乗り込み朝の新鮮な空気を窓から吸い込んだ
由貴さんの軽やかな運転で程なくしてファミレスについた
席に着くなり普段は吸わないタバコに火をつける由貴さん
「希瀬さんみたい」
「似てない」
「龍ヶ崎って」
「父親の姓だ
後にも先にもたった1人の父親だからな
希瀬は父親が浮気した相手の子だ」
私はメニューを見ながら由貴さんの話しをきいていた
「だから売女のっって言ってたんですね」
「あぁ」
「私パンケーキにします」
お腹もすいていたせいか早々にメニューを決め注文する
由貴さんにはコーヒーを持ってきた
「職場でもこれくらい気が利くとありがたいんだが
希瀬と寝たのか?」
私はわざとらしく笑ってはぐらかそうとした
「いえ···」
「嘘つかなくていい
希瀬の香水の匂いがする
それに首の痣」
「はい」
私は言葉の意味が分からないまま注文したパンケーキを切り分けた
食事が済むと由貴さんはすぐに席を立ち私も続いた
車に乗り込むと車は発進せずただ沈黙が流れていた
「本当に鈴がきめることだから俺はなにも言わないけどもし引き返すなら今だよ?
俺も男だからみくびってもらったら困る
わかるだろ?おまえを傷つけてでもいいから奪いたい」
「···私わかんないです
まだ答えになんてたどりつけなくて」
由貴さんはため息をついてエンジンをかけた
無言のまま車は遊園地の方に向かっている
本当はそんな気分なんかじゃないけど
遊園地の駐車場につくと携帯が鳴った
「もしもし」
「楽しいか?」
「希瀬さんといるよりましです」
「一度しか言わないからな電話きるなよ?
俺おまえのこと好きみたいなんだわ」
今なんて?
「···」
「って言ってみたかったんだよなぁ一度は」
笑いながら希瀬さんはごまかす
「用がないならきりますよ」
「面会に来るか?」
「いきません」
「必至だなぁ頑張ってるのに」
今は希瀬さんの優しさに甘えちゃいけない
ちゃんとサヨナラを言わなくちゃ
「サヨナラ」
それだけ言うと私は携帯を置いた
「泣いてる?」
「泣いてません」
「希瀬は狡いよなんにしても」
由貴さんはチラチラとバックミラーを確認しているとけたたましいエンジンの音がしたかと思えば私たちの車のすぐ横につけた
「あの車、迷惑ですね」
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