あと少しの恋
「迷惑だって希瀬」
えっ?
このライトバン希瀬さんの?
ライトバンのウィンドウがさがりサングラスをかけた希瀬さんがにやりと笑う
「希瀬さん」
「勝手にサヨナラなんてさせねぇよ」
「希瀬おまえなぁ」
口を挟んだのは意外にも由貴さんだった
「俺の計画が」
希瀬さんは気にする風でもなくただ私に言った
「せっかく病院ぬけだしてきてやったのに
本当、かわいくないな」
「私かわいくないですから」
「楽しんでこいよ」
「えっ?」
「えっ?じゃねぇよ」
私は由貴さんの車を降りてライトバンに乗り込んだ
「希瀬さんごめんなさい
もうごまかしたくないんです」
「なにを?」
「だから希瀬さんもはぐらかさないでください」
私は身を乗り出して希瀬さんに言い放った
「ごまかすつもりもはぐらかすつもりもない」
「ならいいんです」
「つか重い、痛いから降りろ」
私はゆっくりどくつもりで希瀬さんの顔を見る
希瀬さんは何も言わず荒く息を吐いた
「来なくても良かった」
「来なかったらすれ違ったままだった
私そんなのイヤなんです
正直、嘘をつくのもキライなんです」
希瀬さんは聞いてるのか聞いていないのか曖昧な言葉で返した
「後悔するかもしれない?」
「自分の気持ちにウソつくくらないなら後悔したほうがマシですって希瀬さん聞いてます?」
「なんでそうなるんだよおまえは」
痛みに顔をしかめながら希瀬さんが言う
「確かに選択肢ならたくさんあると思うんです」
「誰が難しいこと言えって言ったよ」
「じゃあ好きだからです」
希瀬さんはいつものように頭を撫でてくれるだけだった
「希瀬さん?」
「あの時、おまえに声なんてかけるんじゃなかった
まあ答えが聞けただけマシだけどな」
そこまで話すと由貴さんがドアを開けてくれた
「希瀬、病院から電話がきてる早く帰れ」
私は希瀬さんに手を振り由貴さんと歩きだす
「子供の頃、思いだします」
「遊園地なんて久しぶりか?」
「そうですね~仕事が忙しいですから」
笑いながら由貴さんと手をつなぎ中に入る
さながら私たちは恋人どうしにうつるはず
まさか夢にも思わなかった
私の憧れの人と遊園地にこれるなんて
でもきっとこれが最初で最後
園内をくるくるまわって色々と乗り物に乗っていく
夢のような時間はあっという間に終わってしまう
最後に観覧車に乗って頂上までくると由貴さんがキスをしてきた
「鈴の答えは決まってるね」
「えっ?」
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