はるのリベンジ






8月21日。小倉の戦線を離脱して、先生と共に、白石様邸でお世話になっていた。



そして、先生の元には木戸様を始め、沢山の方々が、見舞いに来られた。




次々来る勝利したという報告に、嬉しそうにするもののどこか、寂しそうな顔をしていた。



その日は、先生は、調子が良い日だった。



東行「はる・・・。出かけるぞ。」



はる「大丈夫なのですか?」


東行「あぁ。行きたい所がある。」





そして、来た場所は、吉田 松陰先生のお墓参り。



先生は、長い間、手を合わせて、報告されているようだった。



そして、その前で、お酒を飲んだ。





はる「吉田先生とは、お話出来ましたか?」



東行「あぁ。色々、報告出来た。もう一つ行きたい所がある。」




私達は一頭の馬に二人で乗る。




着いたところは・・・。



昔の私の家。



父上と暮らした懐かしい家だった。




はる「ここは・・・。」



東行「あぁ。連れて来ないと、お前は一人では、来ないだろう?」


はる「う゛・・・。先生・・・っ。」


私は、先生に抱きついた。



すると、



「おはるちゃん?」


声のする方を見ると、武五郎様が立っていた。




はる「武五郎様?」

 

すると、東行先生が私の額に唇を一度、押し当てて、


東行「行ってこい。文で断ったきりだろう。口で謝ってこい。」



そうだ。あの時、私は、復讐の為に文一枚で別れを告げたんだった。



でも、それより先生を一人でここに残すのが、不安だ。



体調ももちろんだが、狙われでもしたら・・・。


そう思って東行先生を見つめると、東行先生は優しく笑って、行ってこいと言う。



私は、先生の姿が確認出来る位置に武五郎様に来てもらう。



はる「お久しぶりです。お元気でしたか?」


武五郎「あぁ。元気だ。おはるちゃんも元気そう。」


はる「おかげさまで。・・・。あの・・・。婚儀のこと、文一枚でお断りしてしまい申し訳ありませんでした!!」


私は、深く頭を下げた。




武五郎「おはるちゃん、今、谷様の妾なんだよね?」


はる「え・・・。何故、それを・・・。」



武五郎「ははは。長州では、有名だよ。この村も、ここから、大物が出たって。」



はる「いや。そんな・・・。」


武五郎「あのさ。俺・・・。まだ、君のこと好いてるんだ。」


はる「え?」


武五郎「だから・・・。谷様が居なくなったら・・・。」


はる「居なくなったらなんて言わないで!!!」


武五郎「でも。病だよね?もし、俺が今ここであの人を襲ったらどうする?あの人は、助からない。俺から、君を奪った。君の家も。俺が、今も、どれだけ苦しいかわかる?」


はる「それは、私が決めた事です。とう・・・。谷様は、私を助けて下さったんです。私の師であり、最愛のお方です。もし武五郎様が、先生を傷つけるおつもりなら、その前に、あなたを斬ります。」



武五郎「おはるちゃん!あいつに騙されてるんだよ!目を覚まして!谷様が居なくなったら、僕と夫婦になろう。待ってる。俺には、君が、君しかいない。」



はる「それ以上、侮辱したら、許しません。・・・さようなら。」



するとギュッと抱きしめられる。


武五郎「君を愛している。お願いだ。待つから。アイツがいなくなるまで・・・。」



はる「止めてっ!」


私は、腕を振り払い、抜刀した。



はる「これ以上、先生のことを言うなら、斬ります。」



すると、後ろから、優しく包み込まれる。



東行「それは、ダメだろ?しまえ。」



私は、渋々、刀を鞘に収める。



東行「武五郎。俺が居なくなったら、コイツに言い寄るか?でもな。コイツに言い寄る男は、他にもいる。俺は、コイツが笑える場所ならどこでもいい。お前が、他の奴よりもはるを幸せに出来るならお前でも構わない。じゃあな。はる、帰るぞ。」



はる「先生!今のはどういう事ですか?私は他の所になんて行きません。」



東行「じゃあ、尼になるか?それとも、死ぬのか?どっちも許さねぇ。そんなものちっとも面白くない。いいか?よく聞け。俺は、もうすぐこの人生は終わる。でも、俺と一緒にお前は、終わらせるな。お前の心が動いた奴と一緒にいろ。例え敵であっても・・・だ。わかったな?」



はる「わかりません!先生のいない世の中なんて・・・。」


東行「はる・・・。愛している。本当はお前を幸せにしてやりたかった。でも、俺に、残された時間は少ない。でもな。お前は、絶対、尼になることも、死ぬことも許さない。わかったな?」


はる「先生・・・。私も愛しています。先生と離れるなんて、考えられません!だから・・・。居なくなるとか言わないでっ・・・。ふぐっ。・・・っひっく。」



泣く私を、東行先生は、私を抱きしめて、唇を重ねた。



そして、私達は、家に帰ると、先生はまた、床に伏せてしまう。


東行先生は、密かに誰かはわからないが、文を色々書いているようだった





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