元教え子は現上司
 ぼきりと折れてしまったというよりは、歪な形にねじ曲がってしまった、と感じていた。

 さわりたい。

 ふとした拍子に欲求が湧き上がっては、息が止まりそうになる。それなのに、手を伸ばすことができない。さわりたいと思う同じ強さで、悔しいと、その願いに抵抗する自分がいた。

 どうして平気な顔をして、モテるんですね、なんて言うんだ。なんで同じ職場の人たちから逃げるんだ。
 いったいなにを隠してるんだ?
 
 聞きたいことや知りたいことが山ほどある。そう思ってるのは、自分だけなんだろうか。
 会えない八年間よりも、今の方が苦しいかもしれない。
 夜一人アパートに帰って、長い息を吐いた。
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